私は思わず「なるほど〜」と納得してしまったのですが,いざ組み上げてみる と,ケースの表面温度は,他の鉄製のケースと変わらないように思えます.放 熱効果は確か温度差に比例するはずだったなぁ〜,んじゃ,これって何も変わっ てないってこと??? と思い,ちょっと調べてみました.
参考文献「熱設計完全入門 (国峰尚樹著,日刊工業新聞社)」によると,
熱通過率[W/m2℃] = 1/(1/内側壁面熱伝達率 + 壁厚/壁の熱伝導率 + 1/外側壁面熱伝達率)
ここでの熱通過率は,ケース内部の熱がケース外部にどれくら い良く伝わるかの尺度で,単位は[W/m2℃],つまり1℃の温度差が生じた 時に,1m2あたり何ワットの熱が通過しているかを意味しています. (1ワットの熱を放熱するのにどれだけの温度差が必要か,という解釈でも同じです.)
壁の内側も外側も自然対流だとすると,壁面熱伝導率は5〜10W/m2℃程 度です.(本当は温度差や壁面状態に依存した数値ですが,とりあえず 10W/m2℃に固定して考えてみましょう.) 壁厚は2mmとします.純アルミの熱伝導率は 237W/m・℃,軟鋼は52W/m・℃ですから,これらを入れて計算してみます.
アルミ壁 = 4.99979 W/m2℃
軟鋼壁 = 4.99904 W/m2℃
信じられないような数値ですが,要するに,自然対流で熱を伝えている部分の ファクターが大き過ぎて,他はぜ〜んぜん関係ないわけです.このことは逆に プラスチックなどの熱抵抗の大きな材質でケースを作っても,ほとんど問題な いということをも意味します.
試しに,厚さ2mm,幅1m,長さ∞の板の端に熱源があったとした時の熱伝導率 を計算してみましょう.(熱源と板との熱抵抗は0とします.片面だけから対流に より熱抵抗10W/m2℃で放熱するとします.)
アルミ板 = 2.18 W/℃
軟鋼板 = 1.02 W/℃
となりました.さすがにこれだけ差があると有りがた味もあります.
したがって,ハードディスクなどのケースに直接に接するものに関しては, アルミによる放熱効果が大きいと言ってよいと思います.