零番警備隊による報告




























































震える山




















震える山

 山が震えている。
 妖怪たちは、誰もが異変に気付いていた。
 彼らを統括するのは、天狗を中心とした巨大組織――《妖怪の山》。
 その上層部にあたる大天狗議会は、異変への速やかな対処を約束した。
 百年以上ものあいだ、山の社会の平和を守り続けてきた妖怪組織。
 山に棲む者たちは皆信頼を寄せ、組織が誇る精鋭部隊の活躍に期待していた。
 だが―― 

 組織が抱える巨大な闇に、気付いてしまった者たちがいた。






























MOUNTAIN OF BACCANO! 上





























































上巻のあらすじ

 新聞記者の鴉天狗は、度重なる地震の原因と巨大組織《妖怪の山》の秘密を暴くため、機密施設に潜入したかった。
 技術者である河童は、中央山頂に居座る仇敵への復讐を成し遂げるため、組織による警戒網を潜り抜けたかった。
 天狗と河童は互いの目的のために手を組むが、潜入作戦は失敗に終わり、武器を剥奪された二人の間には深い溝が出来てしまう。
 決別した二人の前に立ちはだかったのは、《妖怪の山》によって統制された多数の警備隊、そして――なぜか組織に手を貸す山の神々であった。
 風の神に奪われた『能力』を取り戻すため、二人は遥かな神社を目指し、ほとんど丸腰で《山》に挑む。





巨大組織《妖怪の山》

 かつて、山の妖怪たちを統率していたのは、血気盛んな力強き鬼たちであった。
 時代の流れと共に数を減らしつつあった彼らは、今より百年前に起きた悲劇をきっかけに、人間たちに愛想を尽かし、地上から完全に姿を消した。
 以来、鬼たちに代わって山に棲む者たちを管理・統制するようになったのが、天狗の長である『天魔』を頂点とする妖怪組織であった。
 土地の名にちなんで《妖怪の山》と呼ばれるようになったこの組織は、博識な長老たちの集う大天狗議会の指示により、山の社会と共に目覚しい発展を遂げてきた。

 百年前の悲劇以来、排他的な方針で活動してきた《妖怪の山》。
 そんな組織の中において、対外的な『山の顔』として印刷業を営む山伏天狗、鴉天狗、白狼天狗たちは、同時に山の平和を守る警備隊としても活躍し、その一方で、人間たちの高度な技術を真似るのが得意な河童たちは、技術部に所属し、組織の活動や社会の発展にさまざまな角度から貢献している。
 環境管理部や使い魔の飼育担当部門など、総勢千名を超える巨大組織であったが――常に大天狗議会の指示に従って動いてきた彼らの中に、「上層部が大きな秘密を抱えている」という事実に気付いている者はいなかった。

 ――たった二人の、下っ端妖怪を除いては。




















「そうは言いますけどね。私たちは、風神に気付かれてはいけないんですよ」
「潜入も侵入も、終わっちまえば、似たようなモンだろ」
「『ツンデレ』と『ツンドラ』くらい、違うでしょう」
「……何だ、そりゃあ」




















たった二人の反逆者

 巨大組織《妖怪の山》の陰謀に挑むのは、天狗と河童の妖怪コンビ。
 二人はそれぞれの目的を胸に、自分たちが所属する組織に反旗をひるがえす。
 幻想郷最速の足を持つ、鴉天狗の新聞記者。
「真実しか伝えない」ことを信条に記事を書く誠実な少女だが、せっかちな性格ゆえに失敗も多く、いちど駆け出したら歯止めがきかないのも玉にキズ。
 一本角の鬼が滝の懸崖を蹴り砕いた『九天の崖崩れ事件』の直後、地質調査を妨害した《妖怪の山》上層部の不穏な動向に目を付ける。
 上層部がひた隠しにしている秘密と、頻発している地震との関連性を明らかにし、山の妖怪たちに『真実』を伝えるのが目的。


 数多くの発明品を生み出してきた、河童のエンジニア。
 冷蔵庫や携帯電話など、人間たちの最新技術を数日足らずで再現できるほどの天才的な頭脳と技術を有するが、性格はガサツで喧嘩っぱやく、ネジの外れた言動も多い。
 一年前、河童たちが『盟友』と慕う人間たちとの絆について、耐え難い侮辱を受けて以来、『地震を操る青髪の女』に対して激しい怨恨を抱いている。
 中央山頂の警戒網を突破し、その付近で地震を頻発させているという『青髪の女』を叩き、踏みにじられた誇りを取り戻すのが目的。









































立ち塞がる神々

 南部の山頂に広がる湖のほとりに、『守矢神社』と呼ばれる神域が存在する。
 二年前の秋、外部から山の上に転居してきたこの神社には、大自然の力を振るう風の神と、祟り神を束ねる土着神、そして、奇跡を起こす緑髪の巫女の三人が住んでいる。
 射命丸文、河城にとり、《妖怪の山》に反抗する二人の前に、突如としてこの風神が降り立ち、妖怪としての『能力』を奪い去った。
 直後に逃亡犯となった二人は、組織に対抗しうるだけの力を取り戻すため、守矢神社への潜入と『能力』の奪還を計画する。
 しかしながら、警備隊による監視の目をかいくぐりながら進まなければならない、ただでさえ険しい道の途中――まるで風神の動向に呼応するかのように、古来より山に棲むヤオヨロズの神々が立ち塞がった。

 組織とは別勢力であるはずの神々が、なぜ、《妖怪の山》の反逆者を捕縛するために動いているのだろうか?
 武器も『能力』も失ってしまった鴉天狗と河童は、新たな謎を前に苦悩しながらも、すべてが『敵』となってしまった山に決死の覚悟で挑みかかる。
































「なんか、恋人できた」
「どういうことですか、それは」
「私にもよく解らん」
「はあ。うらやましいですね」
「お前もいつか、モテモテになれるさ」
「触手には、モテるんですがねー」
「何だ、それは」



「エロいな」





































































































マウンテン・オブ・バッカーノ!<上>

『マウンテン・オブ・バッカーノ!<上>』
著:神方山 祈
イラスト:おうぎまこと
文庫判/450P
\1,500(予価)





















【に-07ab】ビキビキ天使の他力本願&LunaticRide





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博麗神社例大祭

上海アリス幻樂団

イラスト:おうぎまこと from 『LunaticRide』
コウカクルイ





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