| ランク | ジャンル | 俺分類 | シナリオ | 原画 | プレイ時間 |
| S | ADV | シナリオ重視, ノベル形式? | 瀬戸口 廉也 | 川原 誠 | 長め |
クリスマスイブの夜、突然大地震が起こって建物も、人の命も何もかも失われた街での物語。
一般的なエロゲみたいな「会話重視」の描写方法ではなく、小説のようにあくまで地の文がメインで物語が紡がれていくような描写方法。「雫」や「痕」のようだと言ってもよいか、まさにサウンドノベルといった感じでした。主要な登場人物の間でプレイヤーの視点があっちこっちに移動するのも効果的でしたね。
食べ物や物資が不足していく状況の中、他社が信じられず疑心暗鬼に陥った人のとる行動だとか、いろんな性格の人たちの考え、そういったものがすごくリアル(実際みたことがあるわけではありませんが)に書かれてるのにすごく感心しました。特にクワガタさんの豹変っぷりなんかは、冷静さを失った人間がしてしまう過激な行動をまざまざと見せつけられたような感じで、不謹慎ではありますが実に刺激的でした。グロテスクな描写は人を選ぶかもしれませんが、読み物としてはすごくおもしろいと思いました。
人の命が本当に簡単に失われていくので、「死は特別なことではなく平等だ」というようなことを改めて考えさせられます。よくあるエロゲやドラマでは、主人公とヒロインが主役であり(当たり前ですが)、彼らはほかとは違う特別な存在なんですよね。だからピンチは必ず乗り越えられるし、当然死ぬようなこともない。ご都合主義で生き返ったりなんかもしちゃうw
…いや、そういう物語がダメってわけではなくむしろそれはそれでロマンがあって好きなんですが、これはそういったものとは違った楽しみ方ができて良かったなぁ、という話です。選択を誤れば容赦なく死ぬ。そうでなくても死んだりする。一応最終的にはハッピーエンドと言えそうですが、それでも根本的には救われてないという厳しさがむしろ良かったです。
まず文字表示ウィンドウ、決まった形があるわけではなく、場面によって全画面に文字が表示されたり、右側にCG・左側に文字、と非常に凝っててすごく効果的でした。BGMは不安をかき立てるようなもの、緊張感を高めるものが特に良かったです。BGMそのものに加えて、「無音」というBGMも各場面に活かされてたと思います。他にも効果音や、立ち絵の代わりにキャラの顔のカットインなど、細かいところの積み重ねはまさに見事の一言に尽きます。エロゲってのはシナリオや絵だけでなく、すべての要素が織りなす総合芸術だなぁと改めて実感しました。
シナリオの、特に人物描写の素晴らしさ、そしてそれを何倍にも引き立てる演出の見事さで、Sランクがふさわしいと思いました。舞台は学園などではなく過酷な環境です。恋愛要素もありません(「愛」ならあると言えなくもないですが)。一風変わったエロゲをやりたい!という人には是非ともお勧めします。そうでない人は、ふつうのエロゲに飽きてきたらやってみてくださいw
ちなみに、いないとは思いますがエロには期待なさらぬようw 無いことはないけど、少ないです。