闇の中の妖精

志麻いづみの巻


 昔、いや今でもそうですが、仲間内で「誰かひとりお相手願える女優さんがいれば?」という話題になると、私はいつも志麻いづみの名前を挙げていました。

 彼女はグラマーではありませんが、いわゆる「やられ顔」がとても良く、まあ、これは個人的好みですが、とにかく悶えの表情がグッときます。あと、常時勃起系のやや大きめな乳首も個人的には大好きですし、色っぽい役柄が多いわりには所謂「プロ」としての匂いがあまり感じられない品の良さがあると思います。実際、彼女はミッション系女子大出身で日本舞踊・
花柳流の名取なのでした。

 彼女の芸能界デビューは昭和50(1975)年、
白川望美(しらかわゆみ)として石原プロ製作の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」にチョイ役として出演したことに始まり、同年、映画出演も果します。


帰ってきた女必殺拳(昭和50年・東映)
監督:山口和彦
出演:志穂美悦子、川崎あかね、倉田保明、白川望美(=志麻いづみ) 他

 志穂美悦子主演の女ドラゴン・李紅竜シリーズの3作目です。

 物語は幼馴染を捜して香港からやって来た彼女が悪を倒すというお定まりの展開ですが、やはり彼女の空手アクションは魅力的で、どうしても「花と蛇」の京子のイメージが重なってまいります。この作品ではなんと彼女が逆さ吊りにされ鞭打たれる場面まであるのですよ、もちろん衣服は着けておりますが……。

 で、志麻いづみ白川望美はその幼馴染といっしょに売り飛ばされて(?)来て、横浜のクラブで働かされているスージー・ウォンというホステス役でした。残念ながら開始から18分あたりでギャングに射殺されてしまいますが、悲しみと愁いを含んだその表情には堪らないものがありました。


 その他、映画には数本脇役として出演しているようですが、その間、テレビ作品では「徳川三国志(昭和50年・NET=現テレビ朝日)」、「大都会(昭和51年・日本テレビ)」、「非情のライセンス(NET=現・テレビ朝日)」等に出演していて、特に「大都会パートU(昭和52年・日本テレビ)」では出演メンバー達が劇中で集る小料理屋のお手伝いさん・佐藤道子役として準レギュラーの座を務めております。リアルタイムでは印象に残っておりませんでしたが、「志麻いづみ」として注目された後の再放送は彼女目当てに見ておりました。日活にスカウトされ「志麻いづみ」として契約したのはこの頃のようで、番組終了近くのエピソードでの字幕には「志麻いづみ」としてクレジットされていました。


東京チャタレー夫人(昭和52年8月・日活)
監督:藤井克彦
原作:D・H・ローレンス
出演:志麻いづみ、梓ようこ 他

 再デビューにして初主演作はもちろん「チャタレー夫人の恋人」を翻案したものです。

 物語は大富豪の長男と結婚した志麻いづみが夫が交通事故で下半身不随になったことから身体を持余し、様々な性の遍歴を経て自立するまでを描いておりました。

 個人的にはこの作品で初めて彼女の存在を知ったのですが、とにかく上流階級夫人を演じる彼女の美しさと品の良さ、それに反比例するかのような色っぽさと淫乱な官能場面の演技がかなり強烈で、これはテレビの深夜番組やワイドショウ、週刊誌やエロ本等々、色々なメディアで特集され、当時としては破格の大ヒットになった記憶があります。なにしろ「
日本舞踊の名取からポルノ女優に転身」ですから……。

 ただしストーリーがやや予定調和的で、実は同時上映の夢野久作原作、小沼勝監督による「
少女地獄」がエログロ幻想ポルノとしてかなり良いセンいっていた為に、今となっては若干大人しい雰囲気の印象しか残っていない気が致します。しかしこれは私のような「その気」のある者にとっての事かもしれず、大多数のポルノ映画ファンにとっては新しいスターの誕生として印象深い作品ではなかったかと思います。


肉体の門
(昭和52年12月・日活)
監督:西村昭五郎
原作:田村泰次郎
音楽:コスモス・ファクトリー
出演:加山麗子、渡辺とく子、志麻いづみ、宮下順子、山口美也子 他

 これまた有名なベストセラー小説を原作とした作品ですが、すでに決定版である鈴木清順監督による昭和39年の日活作品があるので、映画そのものの出来を比較すれば残念ながら……ですが、正月公開らしく豪華女優陣によるエロスの競演は見ごたえがあります。

 物語は敗戦直後の東京で生きる娼婦達の嫉妬と欲望に満ちた生き様を描いたもので、主役のボルネオ・マヤを演じる加山麗子はこれが初主演作でした。志麻いづみは元良家の人妻という売春婦で、ハマリ役です。他にも渡辺とく子はここでも良い味出しまくりでしたし、宮下順子も妖艶でした。ただし個人的にはリンチの場面はもっと粘っこくやって欲しい気持ちでし た。


四畳半・猥褻な情事
(昭和53年1月・日活)
監督:藤井克彦
出演:志麻いづみ、宮下順子、青山恭子 他

 2本目の主演作も若妻役でした。

 物語は何不自由無い日常を送るサラリーマンの妻・志麻いづみが、昔お世話になった茶道の師匠に誘われて茶会に出ると、そこは男女乱交の場。そしてその日以来彼女はすっかり虜になり通いつめ、さらに不信を抱きその場に乗り込んできた夫までもまき込んで……、という展開でした。

 ややストーリーに捻りが足りない気も致しますが、失礼ながらそれよりもまだ乳首も黒ずんでいない若くて美しい志麻いづみをじっくりご堪能いただきたい作品です。

 なお、後に隠れた名作と私が勝手に思い込んでいる「
果てしなき絶頂(昭和53年・日活)」に主演する
青山恭子はこれがデビュー作ではなかろうかと思います。


教師女鹿
(昭和53年3月・日活)
監督:曾根中生
原作:川崎三枝子、沼礼一
音楽:コスモス・ファクトリー
出演:栄ひとみ、志麻いづみ 他

 女流劇画家の川崎三枝子と原作者の沼礼一の同名作品を映画化したものです。

 物語は父の復讐のために出自を偽って名門高校に赴任した女教師の活躍を描いたものですが、主演の栄ひとみについてはこの作品しか見たことがありません。志麻いづみはちょい役でした。

 この時の併映は
宇都宮雅代主演の
危険な関係」で、もちろんこれはラクロ原作を翻案したものです。したがってこちらの作品は添え物的扱いでしたが、曾根監督の引き締まった演出でなかなかの出来だったと思います。再評価を望みたいところです。


団地妻・二人だけの夜
(昭和53年4月・日活)
監督:林功
出演:志麻いづみ、珠留美、梓ようこ 他


 ロマンポルノのドル箱
「団地妻」シリーズの一本で、志麻いづみは押しかけ女房的な役でしたが、ハマリ役とあって好演なのでお勧めです。確か7代目の団地妻になるのでしょうか、ストーリー展開も笑いと仄かなペーソスがありますし、共演の梓ようこも得意(?)の舌ったらずの会話が堪らない雰囲気です。

 
珠留美は多くのピンク映画に出演されたベテランで、以前に団地妻を演じたこともあり、ここでもツボを外さない演技を見せてくれます。それにしてもやや肉感的で濃いめのキャラの彼女と若くてスレンダーな志麻いづみの対比は本当に鮮やかでした。色っぽさは五分五分でしょうか?


若妻が濡れるとき
(昭和53年6月・日活)
監督:藤井克彦
出演:志麻いづみ、渡辺とく子 他

 
4本目の主演作はそのものズバリの題名ですが、ミステリの味付けがあり、志麻いづみは娼婦と貞淑な妻の二重生活を送っているという設定でした。ネタばらしになるのでくわしくは書けませんが、ややシナリオに練りが不足しているように感じます。

 ただこういう設定なるとアンドロイド系というか、やや無機質な彼女の面立ちの美しさが最高に生きてくるのも事実で、大変魅力的です。もちろんそれは絡み場面における彼女の表情にもいえることで、個人的には秘めやかなエロスの噴出に至るまでの過程の美しさと卑猥さのバランスが絶妙に演じられていて興奮させられました。


ひと夏の関係(昭和53年8月・日活)
監督:加藤彰
出演:水島美奈子、桂たまき、志麻いづみ 他

 新人をいきなりヒロインに抜擢し、その初々しさを強調した作品づくりをするのは日活ロマンポルノのお得意ですが、
水島美奈子もそのひとりです。こうした場合、脇を固めるのはベテランあるいは演技派の女優さんで、ここでは桂たまき志麻いづみがその役割を担当しております。

 しかし、これは見た当時から印象の極めて薄い作品で、今、当時のメモを見返しても作品データと「平凡」とだけしか書いてありません。水島美奈子は後年、レイプ役で当たりを取るのですが、この頃は単なる清純派だったのではと思います。桂たまきは昭和48年から50年にかけて「
中井美岐」の芸名で主に東映作品で活躍後に日活に移籍してきた人で、ロリ系の巨乳というマニア泣かせの女優さんでした。彼女についてはいずれ取り上げたいと思いますが、日活では「暴行切り裂きジャック」という、恐るべき傑作に主演しております。


泉大八の犯しっこ
(昭和53年10月・日活)
監督:藤井克彦
原作:泉大八
出演:志麻いづみ、片桐夕子 他

 個人的にはこれも印象の薄い作品で、確かスワッピング物だったと思います。志麻いづみは新婚の団地妻を演じていて、色っぽい雰囲気は良かったのですが……。

 ところで原作者の泉大八は芥川賞候補作も執筆された純文学派の人で、その後にエロ小説というのは団鬼六に通じるものがあります。泉大八の作品はかなり映画化・劇画化されているので、知らず知らずのうちにご覧になっている方も多いのでは、と思います。


透明人間・犯せ!
(昭和53年12月・日活)
監督:林功
出演:マリア茉莉、志麻いづみ、宮井えりな 他

 ロマンポルノの中でも珍品とされる一本で、SFマニアにも人気があるらしいのですが、個人的には???です。

 物語は冴えない科学者の助手が密かに開発された透明人間になる薬を盗み出し、日頃の欲望と夢を達成しようという展開で、女風呂に潜入したり、嫌な女上司やテレビタレントをやりまくったりという、あまりロマンの香がしない雰囲気で、今思うと、どうもこの頃の志麻いづみにはロクな企画が無かったと思います。

 で、この作品の見所は一応主演ということになっている
マリア茉莉の見事な身体です。彼女は有楽町にあった日劇ミュージック・ホールのスターだった人で、スタイルは抜群で大きな美乳、しかも思いっきりの良い明るいエロスを見せてくれるというので、巨乳マニアばかりでなくバタフライ・マニアや褌マニア等、一部に今でも物凄い人気があります。


川上宗薫・原作/白いふくらみ
(昭和54年2月・日活)
監督:白井伸明
原作:川上宗薫
撮影:森勝
出演:志麻いづみ、日向明子 他

 典型的なロマンポルノで、主演は一応志麻いづみなのに、何故か新人・日向明子のサポートに回っている場面が気になります。

 作品自体はどうということがありませんが、ツボを外さない森勝氏の手堅いカメラワークが印象的でした。しかし、志麻いづみの後年の「あの演技」を知っている者にとってはこういう作品は物足りないところです。併映があの名作「
赤い髪の女(闇に蠢く・第9回参照)」では尚の事でした。


肉の標的・奪う!!(昭和54年3月・日活)
監督:澤田幸弘
音楽:クリエイション
出演:鹿沼えり、志麻いづみ、岡本麗、飛鳥裕子、小川亜佐美 他

 所謂レイプ物ですが、日活ニュー・アクション派の俊英=澤田監督の作品ならでは男の側から描かれた成人映画の傑作だと思います。

 物語は酒癖の悪いサラリーマンのダメ男が上司に睨まれ、その復讐のために女達を次々にレイプしますが、逆にその女達から感謝され出世するというある種のお笑い物的な展開です。

 まず、それぞれに趣向を凝らしたレイプ・シーンは見ごたえがあります。出演女優は各々が当時のバリバリの看板女優で、「
犯されの競演」というところでしょうか、みなさん好演でしたが、個人的には小川亜佐美の唇をかみしめながら耐えているのに、いつしか被虐の悦びに落ちていくかのような演技に惹かれました。
 肝心の
志麻いづみはちょっとばかり簡単に身体を与えすぎるきらいがありますが、やはり素敵な「やられ顔」と色っぽい息遣いは魅力的でした。

 尚、
岡本麗飛鳥裕子小川亜佐美の3人は順列組み合せ的なセットとしてロマンポルノでの主演・助演が数多く、その代表作が本作と「ダビデの星・美少女狩り(闇に蠢く・第10回参照)」で、やはり的確な演技力を評価されてのことだと思います。


色情三姉妹・ひざくずし(昭和54年6月・日活)
監督:白井伸明
出演:志麻いづみ、日向明子、深沢ゆみ 他


 これも印象の薄い作品です。当時のメモにもデータ記載だけしかなく、あらすじさえも思い出せない有様です。当時の志麻いづみといえば、「
東京チャタレー夫人」の記録的大ヒットの為に製作者側も彼女がそこに居れば良い、というような企画しか生み出せていなかったように思いますし、見る側もそれで満足していたような雰囲気があります。もちろん彼女の存在感は抜群でしたが、今思うと、良いように使い回されていたような……。まあ、これは私達愛好者が後年のSM物に出演している彼女を知っているからかもしれませんが……。

 共演者の
深沢ゆみは独立系の作品にも出演していた、一部でアイドル的人気のあった女優さんで、未確認ですがおそらくこれが最後の出演作ではないでしょうか?


団鬼六・花嫁人形(昭和54年10月・日活)
監督:藤井克彦
原作:団鬼六
出演:倉吉朝子、志麻いづみ 他

 お待たせしました! と言うしか無い雰囲気の文章が続いておりましたが、
志麻いづみが出演された初めての本格SM物です。しかしこれは失礼ながらSM物としてはやや低調な出来で、詳しくは「闇に蠢く・第10回」を参照にしていただきたいのですが、人妻役の志麻いづみにしてもその色っぽさは最高でしたが、被虐の演技に関してはやや的外れで、もう少し羞恥心が欲しいところでした。彼女の見せ場のハイライトは浴室でのオナニー場面だと思います。


東京エロス千夜一夜
(昭和54年10月・日活)
監督:西村昭五郎
出演:志麻いづみ、宮井えりな、渡辺とく子、橘雪子、芽樹あやこ 他

 SFコメディ風の作りで、とにかく女の裸だけはこれでもかと見られる作品です。

 物語は毎晩父親とその後妻のSEXに気をとられて勉強に集中出来ずオナニー三昧の浪人学生が、ふとしたことからパラレル・ワールドにワープして……、という展開で、裸のOLしかいない会社とか洋ピン女優を集めてのアマゾネス軍団とか、とにかく裸女の乱舞・乱交、所謂馬鹿映画のエネルギーに満ちたものになっております。

 併映があの問題作「
ダビデの星・美少女狩り(闇に蠢く・第10回参照)」だったので、その裏プログラムとしてこういう能天気な企画が出たものかと想像するだけですが、劇場で見た時はもやもやした気分がぶっ飛んだ記憶がありますので、それなりに成功作ではなかったかと思います。志麻いづみの色っぽさは言わずもがなです。


宇能鴻一郎の濡れて悶える(昭和55年1月・日活)
監督:西村昭五郎
原作:宇能鴻一郎
出演:原悦子、志麻いづみ、マリア茉莉、飛鳥裕子、小川亜佐美、沢本美伊子 他

 新春公開らしく豪華キャストを集めての作品で、物語は処女のインターン学生が実習と称して経験する様々な男遍歴を描いたものでしたが、失礼ながらどこか中途半端な印象しか残っておりません。志麻いづみにしても妙なヘア・スタイルとどこか曖昧な演技でした。唯一心から笑えたというか、記憶に残っているのが精液採取の実習場面でした。

 主演の
原悦子は昭和50年代前半にグラビア・モデルとして注目された後に独立系の成人映画で鮮烈な演技を見せてくれた女優さんで、愛くるしい面立ちと親しみやすい雰囲気の所謂アイドル系であり、歌手や作家としても活動されておりました。ただ残念ながら個人的には日活時代はそれ以前に比べてやや生彩を欠いている印象で、引退後は学生向けの情報誌の仕事を始めたようです。


背徳夫人の欲情(昭和55年2月・日活)
監督:林功
出演:志麻いづみ、八城夏子 他

 私が初めて志麻いづみを心から好きになった作品です。

 物語は倦怠期を迎えた人妻の恋の火遊びを描いたものですが、若干衰えが感じられる彼女の身体と絡み場面で自ら腰を使っていくあたりが妙にリアルですし、乳首の勃起状態や悶えの表情、喘ぎ声も生々しく本気度が高い演技で、あぁ、お相手願いたいなぁ、と上映中に思った記憶が甦ってまいりました。

 林監督の演出も押さえ気味ながらツボを外さない流石の見事さで、彼女のファンにはぜひご覧頂きたい作品です。


山の手夫人・性愛の日々
(昭和55年5月・日活)
監督:小沼勝
出演:志麻いづみ 他

 前作の好調を引き続き維持した傑作だと思います。詳しくは「闇に蠢く・第11回」を参照にしていただきたいのですが、物語は盲目の舞踏家の後妻になった志麻いづみの性愛の日々を描いたものです。実際に日本舞踊名取りの腕前がある彼女ですから、踊りの場面も破綻がなく、さらに盲目の夫との絡みにおける受身的官能演技が最高の素晴らしさで、今想うと、このあたりは後年のSM物における名演を予感させたものでした。

 小沼監督の演出と映像美学も冴えわたり、猟奇的味わいもあるので、ぜひ皆様にご覧頂きたくお願い申し上げます。


単身赴任・新妻の秘密
(昭和55年7月・日活)
監督:西村昭五郎
出演:風間舞子、志麻いづみ 他

 前年新東宝でデビューするや、そのギラギラしたエロスを剥き出しにした演技で忽ち多くの作品に出演し人気を得た
風間舞子の日活初主演作品です。とにかく肉感的な裸体で見せる噎せ返るような成熟した女の匂いが漂ってくる演技は圧巻で、流石の志麻いづみも押され気味でした。

 風間舞子は昭和57年頃からは一般映画にも出演するようになり、その後、確か吉本新喜劇の博多淡海と結婚され、新喜劇の舞台に出演されていたと思います。


団鬼六・縄炎夫人
(昭和55年9月・日活)
監督:藤井克彦
原作:団鬼六
出演:麻吹淳子、志麻いづみ、朝霧友香 他

 二代目女王・
麻吹淳子主演の本格SM物に志麻いづみが助演した作品です。ただし、詳しくは「闇に蠢く・第12回」を参照にしていただきたいのですが、失礼ながら個人的には彼女の出演が本作の出来を散漫なものにしている感が否めません。もちろんこれは彼女の責任ではありませんし、彼女の官能演技には堪らないものがあります。


セックスドッグ・淫らな治療
(昭和55年12月・日活)
監督:藤浦敦
出演:志麻いづみ、安西エリ、マリア茉莉、渡辺とく子 他

 ドタバタの病院物で、志麻いづみは看護婦役でしたので、コスプレ好きにはお勧めです。

 内容的にはどうということはありませんが、若くて明るくあっけらかんとした安西エリとマリア茉莉に対して、滲み出てくるような本物の色気を感じさせる志麻いづみと渡辺とく子の対比が見所ではないかと思います。


見せたがる女
(昭和56年1月・日活)
監督:小沼勝
出演:風間舞子、志麻いづみ、北原理絵、高原リカ 他

 風間舞子主演による「女」シリーズの傑作です。

 物語はスワッピング物ですが、小沼監督の執拗で粘っこい演出と風間舞子のギラギラした個性がぶつかりあうような迫力が感じられました。当時のエロ本に載った風間舞子のインタビューには、小沼監督はもう勘弁してほしい、というような発言がありました。それほどここでの彼女の演技は激しいばかりに素晴らしく、もちろん志麻いづみさんも好演でしたが、またしてもやや押され気味の印象でした。

 ところで今、当時のメモを読み返していたら、
志麻いづみの乳首の黒っぽさが目立つ、等と書いてあり、そういえばこの作品あたりからそれが目立ってきたような記憶があり、個人的にこの作品はもう一度ぜひ見たくなりました。

 あと、
北原理絵は寺島まゆみ、大田あや子と共に「スキャンティーズ」というユニットで売り出されたアイドル系のポルノ女優で、ここでも熱演でしたが、昭和58年頃に何とジャズ・シンガーへ転身、スタンダード・ナンバーや人気ジャズ曲に日本語の歌詞を付けて歌うという企画で、これは「キャンディ・ジャズ」と呼ばれ一部で大変な人気者になりました。さらにその後、今度は小説家として中央公論新人賞を受賞するなど、広範囲な活動をしております。また高原リカもかなり頑張った演技を見せてくれました。


もっと激しくもっと強く
(昭和56年5月・日活)
監督:田中登
出演:川村真樹、志麻いづみ、風間舞子、山地美貴、山田辰夫 他

 宝塚出身で初期ロマンポルノのスター女優だった
川村真樹の再デビュー作です。彼女はクールな美貌と巨乳、そして大胆な演技でかなりの人気があり、一般映画にも多数出演されていましたが、確か昭和50年頃に結婚・引退していたので、この作品は当時公開前から密かに(?)注目を集めていたように記憶しております。

 そういう経緯から共演者も豪華で、物語はある種の交換殺人を扱ったミステリ味のあるものでしたが、残酷にも彼女の身体の衰えは隠せず残念な出来だったと思います。それと志麻いづみさんも含めて、何故か出演者全員の演技がオーバー気味なのも不思議でした。ただ、データ記載した女優さんがいずれも乳首に特徴(?)があるので、そのあたりのマニアにはお勧めです。


未亡人の寝室
(昭和56年6月・日活)
監督:斉藤信幸
出演:志麻いづみ、三崎奈美、梓ようこ 他

 公開当時、あまり良い評判がある作品ではありませんでしたが、個人的には志麻いづみだけの存在感が強烈に印象づけられた記憶があります。

 物語は車椅子生活の小説家が執筆で滞在している旅館にある「開かずの間」を巡るある種のミステリで、旅館のおかみの未亡人がそこに毎晩男を連れ込んで……、という展開でした。

 斉藤監督はどちらかといえばアクション物が得意なので、こうした企画ではやや生彩を欠いているようで、失礼ながらそこがこの作品をやや低調な雰囲気にしているのではと推察出来ますが、しかし、それを超えたところで輝く志麻いづみは本当に素晴らしいと思います。

 ちなみに製作は監督から退いた林功氏で、この人は彼女が主演した傑作
背徳夫人の欲情を演出されていたのでした。

 また、共演の
三崎奈美は関本郁夫監督による東映の幻の傑作「
処女監禁(昭和52年)」においてデビューし、監禁され股間を洗われるという鮮烈な名場面を演じた後、トラック野郎」シリーズ等一般映画にも出演、さらに香港映画界のカンフー物で李海姫として活躍しておりました。日活ロマンポルノにも多数出演しており、またテレビでも活躍している忘れられない女優さんです。


ひと夏の体験・青い珊瑚礁
(昭和56年7月・日活)
監督:池田敏春
出演:寺島まゆみ、倉吉朝子、朝霧友香、志麻いづみ

 「ロマンポルノの松田聖子」として当時絶大な人気があった寺島まゆみ主演によるドタバタ物で、志麻いづみはちょい役です。


団鬼六・女美容師縄飼育
(昭和56年11月・日活)
監督:伊藤秀裕
原作:団鬼六
出演:麻吹淳子、志麻いづみ 他

 一応麻吹淳子が主演ということになっておりますが、実質は志麻いづみとの競演作と捉えても良い作品です。しかしながら、詳しくは「闇に蠢く・第14回」を参照にしていただきたいのですが、麻吹淳子に生彩が無く、志麻いづみの熱演も空回り気味なのが非常に残念でした。


奴隷契約書(昭和57年1月・日活)
監督:小沼勝
出演:松川ナミ、小川亜佐美、志麻いづみ 他

 SMニューウェイヴの女王・
松川ナミの第1回主演作品です。詳しくは今後予定している松川ナミの項で取り上げるつもりですが、志麻いづみはここでも新人の脇を固めるといった役どころでした。彼女の場合そういう役割が多いのも的確な演技力と根強い人気があればこそと思います。


団鬼六・黒髪縄夫人(昭和57年・製作:鬼プロ、配給:日活)
監督:渡辺護
原作・脚本:団鬼六
出演:志麻いづみ、早野久美子 他

 「鬼プロ」の製作、すなわち団鬼六自らのプロデュースで脚本までも担当されたということで期待した作品だったのですが……。

 
原作は肉体の賭け」で、物語は父から受け継いだ割烹料理店をギャンブル狂いの夫の借金から守るために自らの肉体を投げ出す女の哀れさを描いたものです。主人公が日本舞踊の名取りという設定なので志麻いづみはまさに適役で彼女の踊りはたっぷり見ることが出来ますが、肝心の彼女に対する責めの場面は後半までお預けです。前半は婿養子である夫のダメ男ぶりばかりが強調され、志麻いづみはひたすら美しく貞淑に耐える女を演じていて、それは大変に魅力的ではありますが、やはり愛好者には物足りません。

 で、やっと後半になり債権者達に虐められるところでも何故か凝った映像が裏目に出た雰囲気が濃厚です。その中では床柱に立ち縛りにされた彼女が桜の枝で乳首周りをネチネチと責められる場面が見所でしょうか、ただし良いところでその場面が窓越しからの映像になったりするのは???でした。

 原作で人気のあった妹・久美子に対する見せ場もこれといって無く、また、さあ、これからだと思うところで恋人が借金の金繰りを着けてしまうのは完全に肩透かし、さらに2人が結ばれると思いきや、志麻いづみは何処ともなく姿を消し、砂丘の中で不気味なメイクで踊って終わるという結末には……。まあ、これもプログラム・ピクチャーとしての時間枠に収めるためには仕方が無いことかもしれませんが、過去には同様の形式で幾多の名作SM物が作られていたのですから、失礼ながらこれは凡作ではなかろうかと思います。

 渡辺護監督は独立系で数多の強烈な成人映画を演出した名匠ですが、得意の纏りの良さがやや裏目に出た雰囲気で、団鬼六のプロデュースと噛み合わないところがあったのかもしれません。また当時のエロ本に、
志麻いづみは自分の肉体の衰えを非常に気にして引退を考えておられるというような記事が掲載されていたことから、そういう理由もこの作品の低調さの一因かもしれないと推察しております。確かに絡み場面における彼女の細身の裸体は抱き心地がイマイチという雰囲気が画面から伝わって来ておりましたが、その官能美の表現は流石の素晴らしさで、上半身の動きだけで下半身で蠢く男の様をこちらに想像させてしまうあたりは最高です(男のケツはあまり見たくありませんから)。贅沢を言えば、もう少し乳首に対するネチネチとした嬲りが欲しかったところですが……。

 尚、私はこの作品を後述する昭和57年8月封切の
蒼い女」の添え物として見ておりますが、配給がうまくいかなかったのでしょうか、その点が不明のためこの作品の封切月は特定しませんでした。ということで、個人的にはB級の評価ですが、志麻いづみが本格的に主演したSM物ということで、一度はご覧いただきたい作品です。


ワイセツ家族・母と娘(昭和57年5月・日活)
監督:那須博之
出演:森村陽子、志麻いづみ、汐路彰、阿藤海 他

 限定された登場人物が織り成す室内ポルノ劇の秀作です。
 物語は冴えない資産家の男が飲み屋で拾ってきた少女と結婚したことから、その母親と甥夫婦までが家に乗り込んで来てのドタバタという展開です。

 まず出演者全員のオトボケぶりが良く、特にこれが初主演の
森村陽子の正体不明的な幼妻が最高です。志麻いづみが気にしておられたという肉体の衰えもここでは良い方向に作用しており、滲み出るお色気と黒っぽい雰囲気の乳首が素敵ですし、那須監督の演出も思いきった画面構成と暗くならない演出が冴えておりました。


団鬼六・蒼い女(昭和57年8月・日活)
監督:藤井克彦
原作:団鬼六
出演:志麻いづみ、山地美貴、江崎和代 他


 志麻いづみが主演した2本目の本格SM物です。

 前作「
黒髪縄夫人は若干残念な出来でしたが、これはまさに起死回生ともいうべき傑作だと思います。

 物語はホモでグウタラな夫に嫌気がさしている富豪の若奥様・志麻いづみが、舅が会長を勤める会社の平社員と恋愛関係にあることを掴まれて駆け落ちしますが、結局その恋人共々捕えられ責めを受け……、という展開です。

 タイトルそのままに画面が「蒼」の色彩に満たされ、そこに「赤」がグサリと突き刺さるという色彩感覚が全篇を貫いており、まず冒頭から「蒼いタオル」の下で絡み合う男女の場面がタイトル・バックという大サービスで、そこでバックから責められる志麻いづみが強烈な色っぽさです。そしてその場面を隠し撮りされ静止画像になったところで「団鬼六・蒼い女」と浮き出る画面構成が本当に秀逸でした。

 またこの作品では最初から志麻いづみが「M女」と周りから決めつけられ、本人は否定するものの、責められるほどにその本性を徐々に表わしていくあたりが見所になっているのも新鮮でした。

 その責めの内容では医者と看護婦が登場しての
医療プレイ的なものを導入するという新機軸が披露され、剃毛Gスポット刺激クリトリス責め芋茎エキス責め等があたかも手術場面の様相を呈しておりました。また、その責めが行われているのは特に作られたプレイルームともいうべき部屋で、天井から壁、床までがすべて「蒼」で彩られ、その中で志麻いづみの色白で細身の裸体にただひとつ着ける事を許された赤褌が眼に染みこんでまいります。

 彼女もそのあたりを充分に把握しているようで、羞恥心と淫乱・痴態の絶妙な演技をたっぷりと見せてくれます。中でも磔にされている恋人に「おしゃぶり」を強要される場面、檻の中に恋人と二人で監禁されている時に尿意に苦しめられ、「出来ない……、あなたの前では出来ないっ……」と羞恥を顕わにする場面、そしてとうとう堪えきれず
赤褌姿で放尿中のところを発見されて消え入りそうにするその表情等々、素晴らしいものがありました。

 さらにこの作品を深みのあるものにしているのが虐め役の
江崎和代の屈折ぶりで、男に抱いてくれるように誘いをかけているのに、いざその時に指やペニスがワレメに入っていくと「痛いっ、痛いっ」と拒絶するあたりは最高で、そんな彼女がネチネチと志麻いづみを嬲っていくのですから、これはもう皆様にぜひご覧いただきたい傑作です。なんと後半には彼女がナチ風の衣装を着ているお姿まで拝めます。

 そしてオマケ的にある看護婦2人によるレズ的なSM場面では
山地美貴のロリ体型に黒い乳首を強調したマニア泣かせの責めまでも見ることが出来るのです。

 それにしても藤井監督の演出は「解っているっ!」としか言い様のない冴えがあり、衝撃的なラストに向けての盛り上げ方は流石だと思います。


 ところで、この頃、
一部で志麻いづみを「三代目SMの女王」とする動きがあり、それに接した私は「あれっ、麻吹淳子は……?」と思わずにはいられませんでした。なにしろ「団鬼六・女美容師縄飼育」以降、彼女の出演作品は公開されておらず、また引退報道も無かったのですから……。非常に気になった私は映画会社やエロ本の出版社に電話等で問い合せてみたのですが、休養中であるとか、良くわからないというような曖昧な答えしかいただけず、結果的に彼女はフェードアウトしていきました。その後やはり病気が原因であった事を知ったのですが、現在はどうなされているのでしょう、幸せを願わずにはいられない気持ちです。


縄と乳房
(昭和58年1月・日活)
監督:小沼勝
美術:木村威夫
出演:松川ナミ、志麻いづみ

 
松川ナミ主演のSM物なので、後日彼女の項で取り上げる予定です。志麻いづみは松川ナミが演じるSMショウを見るお客さんの役で、もちろんその道の愛好家となっておりました。下着姿が堪らなくセクシーです。作品自体も人間のどうしようもない悲しみを描いた耽美的な秀作で、小沼監督の演出は流石です。あと、美術担当の木村威夫氏は鈴木清順作品等を担当された名人で、ここでも低予算の中で精一杯の凝った造りを見せてくれます。


団鬼六・蛇の穴(昭和58年2月・製作:鬼プロ、配給:日活)
監督:藤井克彦
原作:団鬼六
出演:志麻いづみ、花真衣、水木薫、大杉漣 他

 
鬼プロ製作による志麻いづみ主演のSM物で、とても素晴らしい作品です。

 物語は「縄」にある種のトラウマを持ち、また夫婦間が冷えている人妻・志麻いづみの謎を巡っての展開なのですが、ややミステリ味があるので詳しくはここまでに致します。前半は自分に心を閉ざしている志麻いづみを心理的に嬲る夫の姿を、後半はいよいよ本格的に責められる志麻いづみを中心に物語が進行し、責めと被虐の中でついに2人の心が通い合うその時に素晴らしいオチがあり、さらにそれが最後の場面でまた素敵なオチに継続していくという、大変SM的に洒落た物語になっております。

 少しだけ触れさせていただければ、何故、志麻いづみが尼寺へ行かねばならないのか、つまり髪を切らねばならないのかというところがミソだと思うのですが……。

 で、肝心の見せ場ですが、まず冒頭、所謂「中出し」された股間を洗う志麻いづみの浴室での場面からSMショウにおける逆さ吊りでの縄と蝋燭の場面がうまく繋がっていて、自然と物語の中に引き込まれてしまうあたりが、まず秀逸です。

 前半ではそのショウを演じていた男と志麻いづみの夫が、彼女の従妹までも巻き込んでお座敷でSMプレイに興じ、それを見せつけて心理的に彼女を追い込んでいきますが、ここでの藤井監督の情念の演出と構図の決め方はとても良く、この味は現在のAV作品ではけっして味わう事の出来ないものだと思います。

 そして後半、いよいよ責められる志麻いづみとなりますが、
乳首責め芋茎責め剃毛股縄と続く場面での彼女の表情、仕草、そして喘ぎと悶えの声の出し方等々、本当に素晴らしいものがあります。そして縛られ吊るされている彼女が尿意に苦しみ、それを夫に訴える場面での「行かせて……、下さいっ……、トイレへ……、我慢でき……、無いっ……、うぅっ……」という言葉の息遣いと仕草は、同じ情況を演じた
団鬼六・花嫁人形の時とは比べ物にならない程の羞恥心と絶望の入り混じった最高の演技で、もう堪らないものがありました。もちろんその後は我慢できず立ちションとなってしまうのは言わずもがなです。

 それとこの作品では共演者がいずれも物語に登場する屈折したキャラクターを上手く演じていて最高のスパイスになっており、その中では新東宝のSM作品等で妖しい刺青が評判となった
花真衣の美しき縄姿を拝むことも出来ますし、従妹役の水木薫がとても素晴らしく、しっかりした演技を見せてくれます。ちなみに彼女は上智大学英語科卒で劇団SET出身という下地があり、テレビや一般映画でも幅広く活動 (バラエティで通訳をやっている場面を見たことがあります) されていて、隠れファンが多いのではと思います。また志麻いづみの和服姿も清楚な色気が滲み出る美しさで、さらに琴を奏でる場面もありますし、今や売れっ子の大杉漣が誰を演じているのかという楽しみもありますので、ぜひとも皆様にご覧いただきたい作品です。


団鬼六監修・SM大全集
(昭和59年3月・日活)
監督・構成:加藤文彦
出演:谷ナオミ、東てる美、麻吹淳子、志麻いづみ、神宮寺秋生 他

 かつて日活で製作されたSM映画を既述した4人の女優さんにスポットを当てて再構成した作品で、
神宮寺秋生が狂言回しを務めております。

 実はこの作品が公開されるという情報が入った時、私は密かに過去の作品で編集時にカットされた未公開シーンが含まれているのではないかと期待していたのですが、残念ながら目新しい部分はありませんでした。

 加藤監督の演出部分は神宮寺秋生が古い映画館=小金井名画座の客席や映写室でイメージ的な演技をする部分だけのようで、タイトルを鵜呑みにすれば、各場面の選択は団鬼六が自らが指示したと受け取ってよいと思います。

 で、その場面ですが、
谷ナオミ
生贄夫人奴隷妻」を中心に「貴婦人縛り壷」「夕顔夫人」「黒薔薇夫人」「花と蛇」等の名場面が少しだけ選ばれております。

 
東てる美は「生贄夫人」から鮮烈かつ強烈な浣腸場面が選ばれており、これはあらためて見ても大変魅力的な場面であることを痛感させられました。

 
麻吹淳子は「OL縄奴隷」からの場面が中心になっており、その他「女教師縄地獄」等からのシーンが若干付け加えられております。

 
志麻いづみは日活製作の主演作品は「蒼い女」だけですので、当然そこからの場面しか見ることが出来ません。

 ということで、やや散漫な印象がある作品なのですが、では何故当時このような作品が登場したかと云えば、やはり前年にデビューしたSM界のオリビア・ハッセーと称された高倉美貴の人気で再びSM作品に注目が集っており、名画座等でもSM映画の旧作が人気を呼んでいた為に、その概要を手軽に知ってもらおうという意図があったものと推察しております。したがってビデオが普及した現在ではあまり価値のある作品とは言えなくなってしまいましたが、それでも過去の作品群の中から美味しい場面はそれなりに選ばれており、また団鬼六の嗜好と評価が伺える意味で興味深いものがありました。例えば原作は提供されなかったものの、激賞されたという「生贄夫人」からの場面がかなりの部分を占めている点にそれが伺えるのでは? と思います。


団鬼六・美教師地獄責め
(昭和60年12月・日活)
監督:瀬川正仁
原作:団鬼六
出演:真咲乱、志麻いづみ 他


 久しぶりに、それもSM物という最高の設定で、スクリーンへ戻ってきた志麻いづみに会えた作品でした。

 主演は「1000ミリ」バストで売り出された
真咲乱で、内容については近い将来彼女の項で取り上げたいと思いますが、屈折味がとても素晴らしい作品だと思います。志麻いづみは二転三転する物語の真相に深く関わっており、しかも虐め役として出色の演技を披露してくれます。また冒頭過ぎでレイプされそうになるところでの溢れ出る熟女の色気も強烈でした。


団鬼六・蛇と鞭(昭和61年1月・日活)
監督:西村昭五郎
出演:真咲乱、志麻いづみ、黒木玲奈 他

 前作のヒットに続く
真咲乱主演による2作目のSM物です。詳しい内容については前作同様、後日取り上げる予定ですが、近親相姦味もある秀作です。志麻いづみは美人局を演じるクラブの美人ママという役でした。もちろん色っぽい和服姿、年下の男を弄ぶ絡みの場面等、ハズさない演技が素敵でした。


いけにえ天使
(昭和63年1月・日活)
監督:藤井克彦
出演:桂木麻也子、小川真美、志麻いづみ 他

 タイトルからしてSM物かと思いきや、誘拐事件を巡る人間模様を描いたロマンポルノで、志麻いづみはちょい役です。

 作品自体は残念ながら低調だと思いますが、主演の
桂木麻也子は愛くるしい面立ちでこの頃すでにグラビアやAV、さらにテレビ等で活躍されていてかなりの人気があり、この後、同じ日活作品
天使のはらわた・赤い眩暈で竹中直人と共演し、素晴らしい演技を見せてくれたのでした。


 ということで、志麻いづみの主だった活動はここまでのようです。
団鬼六・蛇の穴出演以降2年程のブランクがありますが、この間にテレビの2時間サスペンス物や舞台等に出演されていたので、この後もまだまだ活動は続けていらっしゃったのかもしれませんが、一応ここまででこの項は終了させていただきとうございます。

 で、志麻いづみといえば、やはり一般的には
東京チャタレー夫人の印象が強く、人妻役に定評がありましたが、個人的には後年のSM物、その中でも団鬼六・美教師地獄責めにおいての様な意地悪な演技をもっと観たかったと思います。

 最後に僭越ながら出演作品ベスト5を選んでみましたが、彼女の場合、出演された作品の傾向が多岐に渡っているため、あくまでも個人的好みと、ご理解お願い致します。

 第
位:団鬼六・蒼い女
 第
位:団鬼六・蛇の穴
 第
位:山の手夫人・性愛の日々
 第
位:団鬼六・美教師地獄責め
 第
位:背徳夫人の欲情

 
1位と2位はどちらが1位になってもおかしくない作品で、いずれも志麻いづみの美しき被虐の痴態をたっぷりと味わう事が出来ます。3位の
山の手夫人・性愛の日々はドロドロとした人間関係と屈折した猟奇味が好みです。第4位の団鬼六・美教師地獄責めは主演作品ではありませんが、彼女の出色の演技がこの作品を優れたものにしている大きな要素だと思います。第5位の背徳夫人の欲情は全くの個人的好みで、賛否が別れるのではと思いますが、彼女のファンにはぜひ見ていただきたい作品です。

データ部分にある映画会社名で「日活」はある時期から「にっかつ」と記すのが正しいのですが、個人的思い入れから「日活」で統一させていただきました。ご理解お願い致します。

(2002.07.10「地下画廊」に掲載 / 2005.01.07 改稿転載)
(敬称略・続く)