Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West(原盤:Columbia Leacy C2K65138=CD)
 Miles Davis(tp),Steve Grossman(ss),Chick Corea(key),Dave Holland(eb)
 Jack Dejohnette(ds),Airto Moreira(per)
 1970年4月10日 サンフランシスコの「ファルモア・ウエスト」で録音

 マイルス・デイビスの諸作の中で決定的名盤のひとつとされる「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」を、私は理解出来ません。このアルバムを発表した1970年当時のマイルスは、「オレは世界一のロックバンドだって作れるんだ」云々とホザいていましたが、このアルバムのどこが、世界一のロックバンドなんだっ?! という思いは、今も変わっていません。

 しかし私は、その時期の、つまりロックビートで演奏していた頃のマイルスが、かなり好きです。なんだか自己矛盾を露呈していると思われるかもしれませんが、その拘りを大きくさせられたのが、今回ご紹介するアルバムです。

 さてここで書いた「その時期の」とは、1960年代後半にマイルスが率いていた、所謂黄金のクインテット=Miles Davis(tp),Wayne Shorter(ts),Herbie Hancock(p),Ron Carter(b),Tony Williams(ds) が、従来のジャズの可能性を極めつくした後に、新たな展開としてロックやソウルのビートを取り入れた演奏を模索した時期、そして少しずつメンバー交代を繰返して続けられた録音セッシッョン、さらに新メンバーを加えての巡業をやっていた1968年〜1972年位までを指しています。

 今日ではそのあたりの演奏が、公式盤の他に多くの海賊盤で出回っておりますが、リアルタイムでは「マイルス・イン・ザ・スカイ:Miles In The Sky」「キリマンジャロの娘:Filles De Kilimanjaro」「インナ・サイレントウェイ:In A Silent Way」そして「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」「アット・フィルモア:Miles Davis At Filmore」「ジャック・ジョンソン:A Tribute To Jack Johnson」ぐらいしか無く、実はそのどれもが当時の日本のジャズ喫茶では困り者の存在でした。もちろんその大きな要因は、その頃の日本のジャズ愛好者が見下していたロックのリズムや電気楽器の導入、さらには自然発生的な流れが持ち味のジャズに大きく逆らった編集や多重録音を用いたアルバム製作方針等々、とにかくロックやポップスと変わりない手法が嫌われていたのです。確かに、当時のジャズ喫茶≒フュージョンが流行る以前のジャズ喫茶では、もちろんラテン・リズムの変形的なジャズ・ロック調のレコードも鳴っていましたが、それでもマイルスのこの辺りのアルバムがかかろうものなら、席を立つ客が目立つ雰囲気でした。

 そう、確かに違和感がありました。何か、煮え切らないというか、マイルスが世界一のロックというそれは、明らかに当時のロックが持っていた爆発的な迫力、ストレートなカッコ良さに欠けていました。特に当時から名盤とされていた「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」にはっ?!

 しかし前述したそんな作品群にも私を虜にしたアルバムがありました。それが「インナ・サイレントウェイ:In A Silent Way」と「ジャック・ジョンソン:A Tribute To Jack Johnson」です。これは共に、何回かのスタジオ・セッションで録音された音源を巧に編集して作られた曲で構成してある、まあ、作り物ですが、これが非常にカッコ良い! 当時流行っていたブラス・ロックやニュー・ソウルよりもアドリブやリズムが鋭く、しかもジャズの自然発生的な流れを大切にしながらのファンキー&グルービィン! それでも当時、誰もこれを「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」以上とは言わんのです……???

 「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」が名盤とされている理由について、もちろんその内容が素晴らしかったことがあるのでしょうが、もうひとつ、このアルバムが当時のジャズ物としては破格の売上げだったことがあげられると思います。

 このあたりの戦略について、当時の所属レコード会社のコロムビアは、ロックに押されて売れ上げが落ちていたマイルスのアルバムの製作方針として、もっと若者=白人の若者にウケるものを作るように要請していたようです。そしてこれは、演奏内容だけでなく、レコード・ジャケットのデザインやマイルス自身のファッションにも如実に反映されていくのです。それは当時の流行のサイケ調のものからアフロ、ニュー・ソウル路線のものまで、今日見ても非常にナウいという、完全に懐かしい死語の世界ではありますが……。

 で、肝心の演奏は当然ロックのリズム、しかしマイルスにもジャズの帝王としてのプライドと試行錯誤があったのでしょうか、それをダイレクトに取り入れることは無く、ある時は単調なリズムの繰り返しだけであったり、またある時は、混濁したフリーな要素ばかりが表出したものでした。もちろん演奏メンバーは全員がアドリブの名人&楽器の達人でしたから、物凄く密度の濃い出来にはなっているのですが、ロック・ビートというものが前面に出てしまった局面では、全く面白みや爽快感がありません。しかもマイルスの方針か、あるいはプロデューサーのテオ・マセロの目論見か定かではありませんが、当時のレコードに収められたそれらの演奏は、ほとんどが編集された作り物というのがミエミエでした。これでは瞬間芸を至上のものとするジャズ・ファンを満足させられるはずもありません。さらにいけないのは「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」の頃になると、そのジャケット同様にアフロ・ビート、黒人の原始的リズムというものが入り込んでいるのです。これがまた当時のニュー・ソウル的観点からいうと全くストレートさに欠け、面白みや爽快感が無いのです。もちろん編集過多というか、アレンジ偏重というか、リハーサルどおりというか、とにかくレコードに入っている演奏そのものが煮詰まった雰囲気で、これを当時の評論家の先生方は完成度が高いと褒めているのです。あぁ、名盤……。

 そしてこれが本場ではバカ売れ、だから名盤?! 日本でも右倣えなのは理解出来ますが、それでも私にはちっとも面白くないアルバムでした。「インナ・サイレントウェイ:In A Silent Way」や「ジャック・ジョンソン:A Tribute To Jack Johnson」の方が良いじゃないか!

 で、そう思っていた私の前に突如出現したのが、このアルバムです。それは1974年初頭のことでした。しかもそれは当時、日本だけの独占リリースで、未編集というのがウリになっていたのです。内容は1970年春に、ロックの殿堂「フィルモア・ウエスト」に出演した際のライブ録音でした。

 その頃のマイルスは、前述したように新しいリスナーを開拓するためのレコード製作をしていましたが、その一環として、もっと積極的に白人の若者の前で演奏するように要請されていました。マイルス本人はギャラやプライドの問題から、最初はあまり乗り気ではなかったようですが、それでもこの申し出を受諾し、もちろんそれは同じ頃に発売された新アルバム「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」のプロモーションも兼ねてのことでした。そして出演したのが、まずニューヨークにあった「フィルモア・イースト」で、ここでは観客を唖然とさせたという強烈な演奏を披露し、同じ趣向で次に行われたのが、このアルバムに収録されたサンフランシスコの「フィルモア・ウエスト」でのライブです。

 ちなみに「フィルモア」という小屋はサンフランシスコの興行師=ビル・グレアムが面倒を見ていた劇場で、まずサンフランシスコで1965年頃から本格的に営業を開始、そこには当時ブームになりつつあった所謂シスコ・サウンドと呼ばれるロックバンドが多数出演し、サイケ・ブームを現出させる温床になりました。そして1968年にはニューヨークにも進出、それが「フィルモア・イースト」で、同時にサンフランシスコの小屋は「フィルモア・ウエスト」と改名したのです。もちろん出演していたのは、当時バリバリの最先端を行くロック系のメンツで、この頃には「ロックの殿堂」と呼ばれていましたが、少しずつソウルやフォーク系の出演者も増え、おそらくジャズ系ではマイルスが最初の出演だったと思われます。

 で、マイルスのフィルモアでのライブ録音といえば、リアルタイムでは1970年に発売された「アット・フィルモア:Miles Davis At Filmore;Columbia G30038=LP」が公式盤として先にあるのですが、これが個人的にはイマイチでした。それは1970年6月17〜20日に出演した「フィルモア・イースト」のライブ音源でしたが、せっかくの白熱の演奏が、4日間の公演を2枚組LPの4面に1日ずつ纏めて収録しようとしたプロデュースのためか、良いとこどりのギチギチした編集バージョンにされているからです。当時のマイルスのライブは、ワン・ステージ1時間ほどの間にいろんな曲をメドレー形式で次々に演奏していくというスタイルだったので、こういう編集もそれはそれで合っているのかもしれませんが、それでも良いところでブチ切って、強引に次のクライマックスに繋げられてしまうのは、欲求不満に陥ります。

 ということで、ここに登場した未編集のライブ録音というのは、大きな魅力でした。その内容は、という前に、このアルバムは前述したように、当初は日本だけの独占発売ということで、全篇約1時間半ほどのライブ音源を、LP2枚分、都合4面に振り分け、各々に Black Beauty Part-1〜Part-4 と名付けた体裁になっていました。それがオリジナルの「Black Beauty:CBSソニー SOPJ39-40」というわけです。

 ただしこれが、一応は公式盤扱いとはいうものの、その実態はライブ音源ということで各楽器の定位が頻繁にズレたり、音質も不安定、さらに日本盤レコード特有のカッティング・レペルの低さゆえからの迫力不足等々、ほとんど海賊盤に近い雰囲気が濃厚でした。

 しかし演奏そのものは極上! というか、個人的には、おおっ、これが当時のマイルスかっ! という以上に、「ビッチェズ・ブリュー:Bitches Brew」を筆頭とする当時のマイルスの得体の知れなさが氷解していく快感がありました。

 そしてCD時代になり、ようやくこのアルバムが全世界的に公式盤としてお披露目されたわけです。もちろんそれに伴ってリマスターもきちんと施され、メドレー形式で現れる曲毎にチャプターが打たれていますので、今回のご紹介は、そのCDを原盤として進めさせていただきます。

Disc-1/01 Directions(J.Zawinul)
 マイルスによるオリジナルは1968年11月27日にスタジオ録音されていますが当時は未発表、1981年になってようやく未発表曲集「Directions:Columbia KC2-36472」に収録されました。しかしこの曲はリアルタイムではマイルスのライブでは定番、さらに作曲者のジョー・ザビヌル(key)とマイルスのバンドのレギュラーだったウェイン・ショーター(ts,ss)が結成したウェザー・リポートも演奏している名曲です。
 曲調は力強いモード風で威勢のよさがミソになっており、ここでの展開もドラムスのドドスコ・ビートに煽られて最初から迫力満点です。マイルスが荒々しく吹きまくれば、背後からはチック・コリアのエレピがブリブリと襲いかかってきます。ソプラノ・サックスのスティーブ・グロスマンは、ウェザー・リポートを結成するためにバンドを抜けたウェイン・ショーターの後釜で入った若干19歳のユダヤ人の若造で、もちろん実力でも格でも明らかにショーターよりも下ですが、やや一本調子の吹奏がロック・ギター的ニュアンスを表現していて、ここでは大正解です。そして凄いのが大暴れするチック・コリアのキーボードで、ジャック・ディジョネットのドラムスとの大バトルは興奮のルツボ!(10分46秒)

Disc-1/02 Miles Runs The Voodoo Down(M.Davis)
 「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」に収録されていた蠢き・どファンクの名曲ですが、ここでは最初からマイルスがキメのフレーズを連発しています。さらに凄いのがリズム隊の大爆発で、特にディプ・ホランドは大暴走、ほとんど好き勝手に弾きまくりです。もちろんチック・コリアはお得意のラテン・フレーズまで繰り出していますし、ディジョネットもメリハリのあるリズムで応戦してきます。そのリズムの渦の中で登場するグロスマンも必死の演奏で、いつしかそれはフリーな展開に! このあたりが非常に自然でありながら計算されているというか、メンバーの力量が試されるところですが、曲の根底にあるファンクネスは失われておらず、ここでは合格点だと思います。(12分22秒)

Disc-1/03 Willie Nelson(M.Davis)
 前曲後半のフリーな展開を修整すべくマイルスが登場して始まるファンク・ロックで、これも1970年2月27日のスタジオ録音が残されていますが当時は未発表でした。そして後に前述の未発表曲集「Directions:Columbia KC2-36472」で陽の目をみるのですが、バンドにとってはバリバリの新曲だったわけです。そのスタジオ・バージョンも爽快な出来でしたが、ここではライブということもあって、さらに迫力が増しています。そのミソになっているのはデイブ・ホランドのキメまくりのエレキ・ベース! そのシンプルなリフの上で展開されるマイルスのソロは痛快ですし、ディジョネットのドラムスはやりたい放題です。ただしチック・コリアには、やや疲れが感じられます。(06分23秒)

Disc-1/04 I Fall In Love Too Easily(J.Styne-S.Cahn)
 混濁ファンクの嵐の中からマイルスのトランペットによって静謐に導きだされるこの曲は、1963年に発表されたマイルスのリーダー盤「Seven Steps To Heaven:Columbia CL-2051」に収録されていたスローなスタンダード・ナンバーです。この展開は当時のライプではよくあったらしく、前述の「アット・フィルモア:Miles Davis At Filmore」でも聴かれましたが、このパートになると従来のマイルス・ファンはホッとしたのでしょうか……? しかし実は、ここでは次の曲になる「Sanctuary」への繋ぎというか、ネタばらしという雰囲気で、この2曲はソックリ曲ですからねっ♪ いつしかそこへ導かれていきます。(01分35秒)

Disc-1/05 Sanctuary(W.Shorter)
 「ビッチズ・ブリュー」に収録されていた静謐な緊張感に溢れた名曲で、ここではスタジオ録音ほどの緻密さは無いものの、よりワイルドで自由な展開が魅力的です。(04分01秒)

Disc-1/06 It's About That Time(M.Davis)
 1969年に発売された傑作アルバム「インナ・サイレントウェイ:In A Silent Way」に収録されていたファンク・ロック曲で、これも当時のステージでは定番曲、しかもやるたびにカッコ良さが増幅していくという魔法のような演目でした。ここでも前曲の静謐なムードを受け継ぎながら、徐々に白熱していく演奏が見事です。
 その中で不思議なのが前半で聞かれるデイブ・ホランドのエレキ・ベースで、何かのアタッチメントでワウワウというか、泡立つようなフレーズ&リフを弾いています。肝心のマイルスのアドリブは、幾つかのキメのフレーズの組み合わせでしかありませんが、リズムに対するアプローチが完全に従来のジャズと異なっていて、これはラップ風でもあります。またグロスマンのアドリブは早弾きロック・ギター風で、ここが従来のロック・ファンに受け容れられた要因かもしれません。しかしインスピレーションがイマイチというか、いつもアドリブの最後にはフリーな展開にしか持っていけないところに限界が感じられます。もっともそこを受け継ぐのがチック・コリアなのでご安心下さい。ここからはリズム隊が各々に大活躍していき、しかもここで上手い具合にDisc-1収録の演奏が終わります。それにしてもこの曲のリフは気持ち良いなぁ、ほとんどサンタナ♪ (09分59秒)

Disc-2/01 Bitches Brew(M.Davis)
 Disc-1の最後からの続きとして、チック・コリアの思わせぶりなエレピからスタートするこの曲も蠢き系です。もちろんオリジナルは当時の最新アルバム「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」のタイトル曲で、アドリブ・パートにはロック・ビートが導入されていますが、イントロ〜テーマ導入部がドロドロしており、さらに物陰に隠れていて人を驚かすようなテーマ・メロディの構成がどうしても好きになれません。なんか気持ち悪いというか、嫌らしいです。そしてここでも、底意地の悪い雰囲気で各人のアドリブが披露されています。(12分53秒)

Disc-2/02 Masqualero(W.Shorter)
 前曲の煮え切らなさを逆手に取ったスタートが見事というしかない展開です。オリジナルはマイルスが1967年に発表したアルバム「ソーサラー:Sorcerer」に収録されていたウェイン・ショーター作の名曲で、初っ端から飛ばしまくりの快演が展開されます。ディジョネットの敲き出すポリ・リズムにはロック・ビートが内包されおり、チック・コリアはラテン風味をモロ出しにしています。実際、チック・コリアのアドリブ・パートは、後に彼が結成するリターン・トウ・フォーエバーと同じです♪ グロスマンもこうしたテンポではボロを出さずに熱演、そしてマイルスもバリバリに吹きまくっていて痛快です。(09分07秒)

Disc-2/03 Spanish Key / The Theme(M.Davis)
 前曲の盛り上がりをキメのリフで締め括り、クライマックスは超どファンクな演奏に突入します。オリジナルはこれも「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」に収録されていたオドロの名演でしたが、ここではそのタイトルとは裏腹に、スタジオ・バージョンよりも遥かにロック・ビートが強調された激しい演奏になっています。もちろんそこにはロックだけでなく、ジャズもソウルもラテンも飲み込んだポリ・リズムが付加されており、それは各人のアドリブ・メロディにも反映されています。例えばマイルスはジャズ、グロスマンはロック、チック・コリアはラテンを主体にしていますが、鬼のような複合ピートで襲いかかってくるリズム隊に煽られて、けっしてそれだけでは許してもらえない雰囲気が横溢しているのです。そしてこの永遠に続くようなクライマックスは、マイルスが吹く短いテーマ・メロディでブツ切れ状態で終了します。そしてそれが、もっと聴いていたいとするリスナーの欲求を継続させるようで、本当に上手いです。(12分53秒)

 というこのアルバムは全篇、痛快な緊張感に溢れています。このCDでは曲毎にチャプターが入れてありますが、実際にはぶっ通しで演奏されている中での曲転換の妙がジャズ的でもありますし、なによりもロックの殿堂に集う白人のロック・ファンを捻じ伏せてやろうとするマイルス以下バンド・メンバーの気迫が圧倒的です。

 当時はサイケ〜ニューロックの爛熟期で、ロックバンドでも長いアドリブ・パートを演じていましたが、ここでのマイルスのバンドは確かにそれと同じ味があり、しかもそういうロックバンドよりは遥かに密度の濃い、強烈な演奏を展開しています。そう、マイルスが言うところの「世界一のロックバンド」が、ここに現出していたのです。

 マイルスが白人のロック・ファンの前で演奏することが、当時の新譜「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」のプロモーションを兼ねていたことは既に述べましたが、それにしてもこういう演奏をしていたら「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」がバカ売れするのも無理ないですねぇ〜! 本当にカッコ良く、圧倒的なんですから! しかし当時の日本では、こうした生演奏には接する機会が無く、それなのに新譜の「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」を最初っから名盤扱いで紹介していたのですから、罪深いというか……。これが理解出来ないのは古い奴だっ、ていうような雰囲気でしたよ。で、私はようやく、この「ブラック・ビューティ:Black Beauty」で「ビッチズ・ブリュー:Bitches Brew」の意図が読めたというか、まあ、少しは聴けるようになったんですがねぇ、本音はやっぱりつまらない……。どちらかというと、この「ブラック・ビューティ:Black Beauty」みたいな演奏のほうが大好きです。

 ということで、皆様にはぜひとも聴いていただきたい、カッコ良い演奏です。願わくば今後、「アット・フィルモア:Miles Davis At Filmore」も未編集完全盤を出して欲しいものです。ちなみに前述した、「ブラック・ビューティ:Black Beauty」に先立つ1970年3月7日の「ファルモア・イースト」でのライブ音源は、「Live At The Fillmore East (March 7,1970):Columbia Leacy C2K85191」として発掘されCD化されています。それがまた強烈なんで、いずれご紹介したいと思います。

【現行CD】
 不思議なことに輸入盤と日本盤のマスターが違う疑惑があります。もしかしたら日本盤は、従来から日本にあったマスター・テープをリマスターしたのかもしれません。音質的には大差無いような気も致しますが、どちらかというと輸入盤をオススメ致します。

(2005.05.24掲載・敬称略)