音声治療について




音声治療は手術や、薬物療法の対象とならない機能性発声障害にたいして行われ、発展してきました。この方法の2つの柱は、1)声の衛生についてのカウンセリング、2)誤った発声法の改善のためのトレーニングです。


音声治療ということばにあまりなじみがない方が多いと思いますが、声の病気の治療においては何気なく行われています。たとえば、小学校に入って集団生活を始めた男の子の声がれが、声の乱用によると考えられた場合、走りながら大きな声を出さないようにしなさい。と指導することも一種の音声治療です。


一部の特殊な病気にたいしては、経験の豊富な言語療法士、音声治療士による呼吸法や発声法の指導が必要ですが、日本では非常にその施設は少なく一般的でないため、正しい対応がされていないのが現状です。ですから、声がおかしいと思って耳鼻咽喉科へいっても、声帯に異常はない。気のせいだ。といわれてしまうこともあります。


このページでは音声治療の対象となる”機能性発声障害”や音声治療について簡単に説明します。




機能性発声障害の主な要因

1.絶叫、咳払いなどの声の乱用

2.呼吸法、声の大きさ、ピッチ、調子の誤った使用

3.喫煙

4.騒音、粉塵、乾燥などの環境汚染

5.精神的ストレス

6.アレルギー、アルコール、急激なダイエットなどの身体的要因




機能性発声障害の分類

1.過緊張性小児発声障害


集団生活を始めた男女にみられる。声の使い方の誤り、乱用が原因。努力性の低いかすれ声になる。

治療は多くの場合、音声指導を行って経過観察をするが、11-12歳以上で改善が見られない時は手術の適応。


2.変声期障害


思春期の健康な男性にみられる。弱々しい、不明瞭な声。音声治療をしながら管理してゆく。喉頭を手で押し下げて発声させることで本来の声を取り戻してゆく。


3.過緊張性発声障害


40-50歳代の男性に多い。声の乱用、誤用、就業環境に問題があることが多い。発声し難い、話すと疲れるといった症状がみられ、かすれた、努力性の低いおおきな声。

音声指導をして発声法を矯正する。


4.低緊張性発声障害


30歳代に多い。過緊張性発声障害が長期に及んだ後筋肉疲労、喉頭筋の強調異常により生じる。音声指導で矯正する。


5.音声衰弱症


長期の声の乱用、誤用、喫煙、環境汚染に加えて、精神的ストレス、不安が重なり生じる。

長く話すと疲れる、のどの乾燥感、頻繁な咳払い、喉に粘液が付着した感じ、などがみられる。音声指導による矯正を行う。



6.仮声帯発声


長期にわたる過緊張性発声障害の結果として、また振動しない声帯(声帯麻痺、声帯萎縮、声帯の切除後)の代償としておもに男性にみられる。

音声指導、時に仮声帯切除を行う。


7.機能性失声


一時的な発声機能の喪失。圧倒的に女性に多い。急性喉頭炎、声の酷使後、急な精神的ストレスが主な原因。

ささやき声しか出せないのに、せき、笑い、泣き声は正常である。いろいろな音声治療で矯正してゆく。


この他にも、心因性発声障害、心因性失声などの機能性発声障害がありますが、これらはすべて不慣れな医師によると精神的なものと一括されがちです。この分野の専門医は少なく、音声外科専門医に相談するのがよいでしょう。


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