日本画家による復元図

住吉本剥落模写         二巻の内
住吉本剥落模写         二巻の内
尾張徳川家に伝来した「源氏物語絵巻」三巻のうち、乙・丙二巻の模本で、江戸時代後期の「源氏物語絵巻」の姿を伝える作品として貴重である。
この模本の筆者は、寛政11年(1799)に、尾張徳川家蔵の乙丙二巻を鑑定した住吉広行(すみよしひろゆき・1755〜1811)と考えられている。各巻の巻末には住吉広定(1793〜1863)の奥書がある。
田中親美剥落模写
田中親美剥落模写
古筆研究家であり、復古大和絵派の正統を継いだ第一人者・田中親美(1875〜1975)氏によって製作された、尾張徳川家伝来の原本に忠実な現状模写である。大正15年に着手し、昭和10年に完成した。料紙の大きさ、装飾、継目まで原本と同様に作り、書風も忠実に模写された。
源氏物語絵巻          (昭和復元模写)桜井清香
源氏物語絵巻          (昭和復元模写)桜井清香
「源氏物語絵巻」の模写は江戸時代以来製作されてきたが、いずれも現状模写で、復元模写としてはこの桜井清香(1895〜1969)本が嚆矢であった。桜井清香は、徳川美術館に20数年勤務し、原本を目近にし、他の多くの大和絵の研究に携わってきた大和絵画家である。現在徳川美術館の館長である徳川義宣の命により昭和33年に着手し、昭和37年に徳川本十五場面、その翌年には五島本四場面を完成させた。
源氏物語絵巻            (平成復元模写)橋姫
源氏物語絵巻            (平成復元模写)橋姫
宇治通いも三年になる晩秋、八宮の留守に訪れた薫は、有明の月のもと、箏の琴と琵琶を合奏する美しい姉妹、大君と中君の姿を垣間見る。まだ明けやらぬ秋の早朝の冷たい空気のさまが、銀と群青でみごとに表現されている。
【宮崎いず美製作(平成16年)】
源氏物語絵巻              (平成復元模写) 竹川(二)
源氏物語絵巻              (平成復元模写) 竹川(二)
現存する国宝「源氏物語絵巻」の中でも最も華やかな場面。復元によって二人の姉妹や居並ぶ女房たちの装束や桜の花が一層優美な姿に再現された。
【富沢千砂子製作(平成17年)】
源氏物語               (平成復元模写)東屋(一)
源氏物語                    (平成復元模写)東屋(一)
場面中央に設えられた裾濃の几帳は、原本では茶褐色に変色しているが、蘇芳あるいは茜などの赤系の有機色料(染料)が使用されたと推定されるため、この模写では蘇芳が用いられた。
【馬場弥生製作(平成17年)】
源氏物語絵巻             (平成復元模写) 柏木二
源氏物語絵巻             (平成復元模写) 柏木二
原本では紫色を呈している夕霧の装束や几帳は、従来、鉛を成分とする白い絵の具と銀を併用した場合、永い年月の間に化学変化を起こし紫色に変色したと考えられていた。しかし、今回の復元模写を進めていく過程で、裏地に紫や赤、表が白の「桜襲」と呼ばれる春の装束に用いられた色目で、裏の色が表に匂った表現と推定されるに至った。色調に細やかな心を注ぎこだわった、王朝人たちの優美な世界が現代によみがえった。
【加藤純子製作(平成16年)】
源氏物語絵巻              (平成復元模写) 柏木(三)
源氏物語絵巻              (平成復元模写) 柏木(三)
この場面は、今回の復元模写事業で最初に着手、愛知県立芸術大学の教授であった故林功が担当した。紫色を呈している源氏の直衣や几帳は、科学的な調査によって使用された有機色料の変褪色と推定される至ったが、当時は鉛を主成分とする白の顔料(鉛泊)と銀との経年による変色とみなされていたため、直衣や几帳には有機色料が用いられていない。
【林功製作(平成11年)】

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