提言テ−マ「各小学校区に自然とのふれあいの場を作ろう。」

本多俊之

 草花や風景の美しさに触れる。セミの羽化の神秘に魅せられる。虫やさかなを捕まえようと頭を働かせる。おもちゃもゲ−ムもない世界で、工夫して遊びを作る。自然の世界での自由自発的な遊びは、特に4、5才から小学生年代の子どもたちの総合的な成長のために必要不可欠です。それは、人間がいくら立派な教育プログラムを作っても代わりをすることはできません。なぜならば、自然ほど多様性に満ちた世界を人間が作ることはできないからです。

 最近、こどもたちの自然体験や環境教育の重要性が指摘されています。

循環型社会の実現や自然の保護を目指した、純然たる教育としての環境教育は、盛んに行われるようになってきているようです。しかし、自由な自然遊びとしての自然体験については、まだまだ十分に理解されていないように思われます。

 その一方で、こどもたちが自由に自然にふれることができる場所や機会が少なくなっています。特に、こどもたちの日常生活圏、小学生の場合には小学校区内には、ほとんど自然がありません。また、自然環境があっても、多くの場合、なにがしかの規制のために自由に利用できません。こうした現状が続けば子どもたちの自然離れはますます進んでいくでしょう。(※小学生は、ひとりで校区から出てはいけないことになっています。)

 授業の中で自然にふれるならば、校区の内外はあまりこだわらなくとも良いかもしれません。しかし、機会や行動は制約されます。自由で自発的な自然体験のためには、子ども達が、自分の意志で日常的にアクセスできる場所に自然があることが必要です。

 そのためには、現在残されている樹林や農地、池、河川など自然の活用、公園緑地などの改造の他、自然の復元も必要になってくるでしょう。学校の中に自然を復元するビオト−プを作る試みも行われています。

 私はこれにもうひとつの要素を付け加えたいと思っています。それは、こうした自然の場を作ることや子ども達の力を導き出し、体験をより豊かにするための手助けに地域のシルバ−世代、男性、女性、若者が幅広く係わることです。

 昔の子どもたちが遊んだ里山や鎮守の森、小川などはすべて公共の場でした。そうした環境をみんなで守り、大事にしてきたことがコミュニティの絆を強くすることにも役立っていたのです。

 今、地域にはたくさんの能力ある人が埋もれています。特にお年寄りの世代は、自然豊かな世界で遊んだ経験を持っておられますし、まだまだ貢献できる力を秘めておられます。若者も手応えのある社会を求めています。

 また、自然の復元となれば、自然の残された地域の力を借りる必要も出てきます。このように、地域の自然体験の場をつくり、運営することが、子どもたちばかりでなく、地域の人々、コミュニティ、そして他の地域との関係も含めて、豊かに活力あるものにする核になれるのではないかと思います。

20022月 堺21世紀・未来デザイン市民フォーラムで発表)