朝日町にとってのエコミュージアム
まちは大きな博物館
まち全体が博物館、町民すべてが学芸員
朝日町にとってのエコミュージアムとは、 「楽しい生活環境観」の具現であり、そのためには町固有の生活を楽しみ、この町について学びながら、よく理解し、誇りを持ち、活かし、生活していこうというスタイルの確立です。
理念、基本的な考え方
自然と人間が共生し、しっかりとした暮らしを築くエコミュージアムの町
エコミュージアムは、町民みんなのための学校です。
※先生は精通する住民の皆さんです
。
地域遺産のための保護センターです。
町の将来を考える研究所です。
※研究員は住民の皆さんです
エコミュージアムは、1960年代後半に考えられた新しい博物館学の考え方であり、新しいまちづくり地域づくりの考え方です。
従来の収集型博物館とは異なり、地域にある自然、歴史、文化、生活、産業など、遺産(資源)の良さを見直して、あるがままに保存・育成し、地域の発展に寄与していく手段です。
エコミュージアムにおいて大切なことは、住民と行政が知恵と労力を出し合って、まちの将来のために発想・形成・運営していくことです。
朝日町エコミュージアム構想の背景
朝日町は山形県の中西部、朝日連峰と白鷹産地の間を流れる最上川と朝日町をはじめとする支流にそって開けた中山間地域の町です。山林面積4分の3を占め、少ない耕作地での農業が生活基盤でしたが、「農、工、商一体の町づくり」をめざし、農産物の育成と工場の誘致を進めてきました。その結果、町の特産品としてリンゴや、ワインの生産、そして町内の企業も次第に生産額を増やすなど、町民生活の向上がなされてきたことと言えます。一方、高度経済成長期における若年労働者の都会流出によって生じた過疎問題については各種対策がとられ、産業振興だけでなく、生活環境の整備、教育文化の振興、保健福祉の充実をはかり、「美しい自然につつまれた、人間性豊かな生きがいのある町」づくりを進め、人口の減少もかなり押さえられてきました。
さて、これからの町づくりの課題として、根底となる価値観の変化をあげねばなりません。これまで、美しいということだけで見てきた自然環境を見直し、地域資源の国民的利用という観点から、生活や経済(特に農業)の基盤としてとらえ、いかにして保全していくかという認識が必要となっています。わが町では、先に自然と人類の共存という観点から、「地球にやさしい町づくり」宣言を行いましたが、これからどう実践していくかが問われています。
先人が築いてきた産業においても、ただ生産の効率を上げるということだけから、働く人々のゆとりや、自然環境への影響も考えながら活性化を図るということが要求されています。
また、過疎化がおさまったとはいえ、平均寿命の伸びと出生率の低下による高齢化の傾向はますます進展し、地域の活力の低下や、福祉対策の見直しなど、新たな問題を提起してくると思われます。
このような状況をふまえながら、第3次総合開発基本構想に揚げられている、町に住む人々が自分たちのまちを愛し、学び、楽しむことにより、暮らしていることに誇りを持ち、生活することの豊かさを認識できる「楽しい生活環境観・エコミュージアムのまち」づくりを目指すことが重要となっています。
なぜ朝日町でエコミュージアムなのか
エコミュージアム(Ecomuseum)は、1971年にジョルジュ・アンリー・リビェール(仏)によって提唱された、エコロジー(Ecology・生態学)とミュージアム(Museum・博物館)を合わせた新語で、新井重三氏により「生活・環境博物館」と意訳されています。
リビェールは、エコミュージアムの目的は、地域社会に奉仕、地域社会を改造する道具と考え、行政と地域住民が一体となって地域の生活、自然、文化や社会環境を史的に探求し、現地で保存、育成することにより、地域の発展に寄与する新しいタイプの野外博物館と定義している。
わが町では、第3次総合開発基本構想において、この考えを取り入れ、エコミュージアムを「新しい生活環境観」と新しく意訳し、特性を生かした町づくりの基本理念としました。わが町に住む人々が、それぞれ、
この町の文化や自然、生活に誇りを持ち、活かしながら、楽しく生き生きと暮らせる生活スタイルの確立
が、この「新しい生活環境観・エコミュージアムのまち」の実現であり、そのための具体的な運動と展開の方法が、本計画です。
わが町がこの方法を取り入れた理由は
(1)当町は、旧西五百川村、旧宮宿町、旧大谷村という独自の自然と文化の個性のある地域から成り立っていること。
(2)当町は、地球にやさしい町宣言、自然観、空気神社、清流を取り戻す運動、のんぼかの森等、生活や環境を大切にした考え方や暮らし方が広がりつつあること。
(3)当町は、地方には地方の楽しい生活や暮らし方があることを認識できる素材、人材がいるという点であること。
エコロジーとは、生物と彼らの環境との間の関係について研究する学問です。エコミュージアムでは生物を人類と置き換えて、人類と環境との関係とし自然の状態と、そこで生活する人々の技術、経済、そして文化の発展との相互関係を探求することです。
朝日町エコミュージアム基本構想調査報告書 より (1991年3月)
エコミュージアムの理論等について詳しい説明については、
日本エコミュージアム研究会
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